ここからは 2003年8月に開催いたしました関西撮影講座で講義しました内容です。
VOL.1と重複する箇所もありますが実践編になっていますので参考にして下さい。

ここで使用しています写真、テキストの2次使用及び無断転載を固く禁じます。

ストロボの使用について解説いたします。なぜストロボを使用するのか?お考えになったことはありますか?
太陽光に近い色温度、発光時間が極めて短い、光量の調整が簡単などが理由です。その利点は・・・


60x45水槽にGN16のストロボを1個ガラス蓋の上に乗せて発光しました。全体が暗く光が届いていないのが分かります。これでは完全な光量不足になります。

ストロボには照射角度があり直進性が強いため水槽のごく一部しか照らされないことがこれで分かると思います。これでは光が当る場所は良いのですが、当らない場所(死角)も出来てしまいます。

もう一つ中央にミクロソルムが繁茂していますがその直下は光が当っていないことです。これでは見た目にも暗く感じます。
同じ条件で今度は2灯使用します。1灯に比べるとかなり水槽全体に光が届いているのが分かるでしょう。しかし、まだまだ死角が多く暗部が目立ちます。
個体撮影の場合はこの位でも撮影は可能です。テトラやアピストなどの小型種に限りますが、気をつけなければいけないのは葉の直下か死角に入る魚は撮れません。水深の半分より下で水槽手前の限られた場所に魚が来た時のみ可能になります。
水槽後方にはほとんど光が届いていないのが分かるでしょうか?
ガラス蓋前方に3灯使用したのがこれですが、光は確かに届いていますが水槽全景がキレイに浮き上がっているとは言えません。レイアウト水槽ではオーバーハングした流木や石が光を遮る事はよくあることです。しかし、全体の水景を撮影するには前景はもちろん後景も写さないと片手落ちになります。
それではどうやって後景も浮き上がらせるか?
・逆転の発想で写したくないものは光を当てないと写真では黒になるのです。全体が明るい水景とポイントだけ照明すればいいのと、その度に臨機応変に対処するのも忘れずに!

左の写真は45cm水槽を横から見たものです。
ストロボをガラス蓋の上に置くのですが、置く場所でどうなるかを考えましょう。
皆様所有の外部ストロボは35mmライカ判用に照射角度が設定されています。つまり上下より左右の方が照射角度が広くなっています。これは横長のフィルム面に合わせているからです。これは、2灯発光ですが前に置くと後方には光が当らないことが分かると思います。全体撮影の場合は後方にもストロボを置くことが全体に光を廻すことになります。
魚の個体撮影で失敗するのはこの照射角度外の死角に魚がいるからです。
5灯使用しますと、後景の水草も認識出来る様になります。水槽全体に光が届くことになります。
では「これで完璧でしょうか?」
満足する水景に撮影出来たでしょうか?
私には水面のストロボの強い光が気になります。不自然ではないでしょうか?
「ストロボを置いているのだから、これは仕方がないじゃないか。」と諦めるより考えてください。
人間は考える葦なんですから。


水面直上のストロボは強い光量のために白く飛んでしまいます。 それを防ぐには 「下駄を履かせる」のです。 それにはガラス蓋で高くしたりプラケースで下駄を履かせると光の死角もなくなり、水面が白く飛ぶのを防ぎます。



上から5灯(下駄を履かせています)サイドからもう1灯で撮影されたのが左の写真になります。
水槽全体に光が行き届いています。ほぼ完了と言っていいでしょう。水槽を蛍光灯やメタハラの照明下で日頃鑑賞しています。それに近づける事が撮影になります。ここまで来ればあとは応用になります。
より完成度を高めるには水温計やパイプ、ストレーナーなどは隠すか外すことも考えましょう。
もちろん、ガラス面のコケなどは言うまでもありません。水の色も重要になります。





撮影方法は1つではありません。水槽の大きさや深さなどによって変えます。また、持ち合わせの機材によっても違ってきます。

もし1台しか外部ストロボをお持ちで無い場合はどうするのか? 

やり方は基本の2通りを考えます。水槽上部高方より真下(照射角度一杯)へ照射と、斜め45度から水槽に照射する方法を用います。それぞれに欠点がありますので気を付けて下さい。
 まずは上方からのライティングの場合(写真上)照射角度によって撮影者に光が当ってしまい水槽ガラス面に写り込んでしまう。その防止策は水槽枠とストロボの間を黒紙で覆うのです。要は撮影者に当る光を遮れば良い訳です。その際水槽に入り込むストロボの光を遮断しないようにして下さい。

斜めトップからのライティングの場合(写真下)はオールガラス水槽以外の枠がある水槽では枠の影がきつく出てしまいます。防止方法は水槽全体水景は撮らない。このライティングは個体撮影に向いていますのでそちらで使用しましょう。

現在のようにデジカメが銀塩を凌駕する時代でフィルム撮影が時代遅れの感があるかもしれません。ネットだけの写真であればストロボなどは用いずとも感度を上げて撮影すれば結構キレイに撮れるのも事実です。しかし、ネットの画像を印刷しますとザラザラなのは既に承知でしょう。

銀塩からデジタルに変わってもプロ用機材はきちっと露光した適性な画像でなければ印刷には耐えられないのです。将来は解りませんが現在の時点で銀塩で撮影することは将来デジカメ撮影でも共通点が多々あるはずです。

ストロボの利点は色温度が太陽光に近く色再現が良いこと。閃光時間が非常に短く魚などの動きのあるものも止めてしまえることが水槽撮影に向いています。
しかし、大型水槽の撮影は機材がないと難しいと言えます。


ストロボを使用した撮影を進めてきましたが、更に上級への触りを少しだけ・・・

ストロボ光の特徴の1つに
直進性が強い。これは何を意味しているか?光線が回り込みしないということです。夜空に輝く月を見ますと太陽光からの直射を受けた場所だけ明るく、当っていない場所は黒です。それで私たちには月が欠けて見えるのです。水槽撮影の最初「1灯ライティング」がまさにこれに当るわけです。一般には「陰影がきつい」「コントラストが強い」と表現されます。写真的には強調、判別、堅調などの表現方法に用いたりします。比較的欧米の雑誌はこのような硬い写真を好む傾向があります。しかし、多くの日本の雑誌はソフトライティングが主流になっています。(スポーツなどは別)

プロがレフ板をモデルに当てて撮影するシーンは誰でも知っています。 それは何故? 
映画やドラマの撮影シーンでスポットライトの前にある物は? 報道カメラの照明さんが天井に照明を当てているのは?
このどれもが硬い光線を防ぐためのものです。
レフ板が
補助光(光の性質は反射光)。スポットの前のトレペは透過光(ディフューズ)。 天井が反射光(バウンズ)を利用して光を柔らかくしているのです。もちろん、これらの技法は水槽撮影でも用いられています。

「上部5灯とサイド1灯の最終形写真」に突然サイドライトが出てきましたが、これは水草の影を弱くするための補助光になるわけです。上からの光だけではディスカスやエンゼルなどが黒く写る原因がこれです。サイド光があれば体側が写し出されれ自然に見えます。また強い光を弱くするには透過光を用います。やり方はストロボ発光部に直接貼る場合と水槽枠全体に貼る方法があります。厳密には光源から距離がある方が透過の効果が出ますのでストロボに下駄を履かして、水槽枠一杯にトレペ(トレーシングペーパー)を貼ると良いでしょう。透過光はトレペを透過する際に乱反射して直進性が弱まるので光が廻り、また柔らかい光線に変わるのです。トレペの他に乳白アクリルや白い布など使用します。厚くなればなるほど透過の効果は上がりますが色温度は下がることも覚えましょう。バウンズ光を用いて撮影するのは水槽背景を白く飛ばしたりする時に使います。