2014・7・1〜3  洞爺湖撮影旅行

「星空と花火を撮ろう!」




 いよいよ写真工房Saso imagingは、飛行機に乗って北海道に遠征です。今回の目的は星空と花火の撮影が目的です。7月は本州では梅雨のために星空を見ることが困難な時期ですが、梅雨のない北海道は光害も少ない星空が拡がる絶好地です。そこは東京ではまず見ることが出来ない天の川を肉眼で見える場所です。天気予報がイマイチで心配しましたが、日頃の行いが良い皆さんと出発です。




7月1日11時出発のスカイマーク710便は定刻より10分遅れで羽田空港を離陸しました。目的地は新千歳空港。写真工房初の北海道への撮影旅行です。あいにくと関東地方は雲が多く撮影に支障がおきないかと心配していましたが、飛行機の窓から下北半島より北海道は雲が切れているのを確認して安堵する主宰。特に揺れもせず無事新千歳空港に着陸。レンタカーを駆って一路、洞爺湖へ向かいます。レンタカーは大き目のワンボックスにしましたので十分なスペースがあり、快適でした。

世界ジオパークに認定されている「洞爺湖有珠山」は、カルデラ湖と活火山が織り成す景観を楽しめる地です。その雄大な風景を撮るのが今回の目的ではなく星空と花火を勉強する講座です。

北の大地・北海道は日の入りが遅く、写真は午後8時の洞爺湖です。7時位では明るくて花火など見れない状況です。ついでに北海道の朝も早いです。日の出が4時5分と早く、撮影しようと3時50分位に起床しましたがすでに明るいんです。東京の感覚とはかなり違う北の大地です。




一日目は夕食後、花火撮影を敢行して、有志による星空撮影に出掛けました。宿の周りでも暗く星空を見る事は可能でしたが、現地係員・O山さんが星空ポイントに案内してくれたのです。そこは壮瞥公園の山頂付近で洞爺湖も見下ろせ、満点の星が降り注いでいました。

北斗七星もはっきり見えて雲も問題ない位になくなっていました。風が少しだけ吹くとさらに抜けの良い写真が撮れるのですが、冬ではないこの季節としては良い環境と言えます。




昨年の館山での星の日周運動では、1時間半掛けて日周運動を表現しましたが、ここ洞爺湖では20分で上の写真のように北極星を中心とした日周運動が撮れました。もし1時間半で撮ると星の数が違うので真っ白になってしまうでしょう。写真の右の方が密集しているのは天の川があるために白くなっています。余談ですが、撮影中に流れ星も偶然撮れていました。それは長時間露光にしたのが良かったのです。

 撮影データ   Nikon D7100  fisheye10.5mm/2.8  F2.8 SS 30秒 ISO 3200   12枚 比較明合成

星空撮影では、口径の大きな明るいレンズが良いとされています。少しでもF値の小さな(明るい)レンズを使用して撮影します。カメラは、高感度ノイズが少ない機種が向いています。各メーカーの説明書を読み機種選定する事をお薦めします。でもここ数年の一眼デジカメは高感度ノイズが出にくい機種が市販されていますので最新機種の情報もキャッチしましょう。

絞りは開放か1段絞って周辺部のピント流れ(合焦しない状態)をなくしましょう。安価なレンズは周辺部分でピントが流れる傾向があります。また、ピントの精度も落ちるので、どこまでの写真を求めるのかで、自分と財布に相談しましょう。追求するとお金が掛かる趣味です。(笑)しかし、A4サイズのプリントであれば概ね支障はないはずです。

さらに大事なのは三脚です。30秒の長時間露光を数時間撮影するなどの場合は、しっかりとした三脚が必要です。揺れるようでは使用の意味がないです。せっかく撮影してもブレていては本末転倒です。重くてもしっかりした三脚が必要です。さらに三脚を目一杯伸ばさずに低めに抑えることで風の影響やブレなどが低減できます。

日周運動に慣れたら、次回は星座や星雲などの撮影に移行します。それには望遠レンズで撮影するのでさらにしっかりした三脚が必要ですから、ご興味がある方のみに講座を提供する予定です。さらに赤道義が必要です。




洞爺湖周辺には有珠山や昭和新山などの活火山があり、風光明媚で撮影ポイントはいたるところに存在します。風景写真は撮りたい被写体の中から不必要な部分を引いて撮るようにしましょう。あれもこれもとフレーミングすると分散して迫力が欠けるので注意!

デジカメの設定でピクチャーコントロールがある機種では「風景」に設定すると彩度が上がり、第一印象に近くなるでしょう。やり過ぎには注意して下さい。写真はデフォルメして作品制作もあるでしょうが、風景写真は見た目に忠実に!が基本です。少し位の調整にしましょう。




2日目は、洞爺湖から支笏湖に出掛けました。この湖は、透明度・深度ともに日本第2位ですから、清純で静かな佇まいを醸し出しています。ここは温泉街もないですが、キャンプ場が整備されているので大自然を満喫するには持ってこいではないでしょうか。きっとここも素晴らしい星空が広がっているんでしょう。




創作意欲に目覚めた? 頑張れ頑張れ!




現地係員のO山さんに支笏湖への案内をお願いし、さらにわがまま発注をする。近くに「滝の撮影」を所望したところ見つけてくれました。伊達市にある三階滝です。落差10mの三段の滝で橋から丁度良いアングルで撮れる絶好の場所でした。

昼間の滝を低速で撮るには色々な条件が必要です。天気は曇り、滝本体が日陰にあるなどでシャッタースピードを1/15秒以下に出来る事です。通常ではもっと速いシャッタースピードになり、綿状に水を表現する事はできません。NDフィルターを使用して露光時間を下げるなど工夫するのですが今回は薄曇りで日陰になり、低感度での撮影で低速撮影が可能でした。

滝や渓谷で水を綿状に流して撮影するポイント

 @ ISO感度を100とか1番低い感度に設定する。A絞りを最少絞り(数値が大きい)にする。B1/15秒以下にする。
シャッタースピードは、その対象になる水量によって変動します。1/30でも流れる時も1/4以下でも流れないなど、その水量で変わりますので丁度良いシャッタースピードを選びましょう。




  花火撮影編
洞爺湖は、4月から10月までの長期間毎日打ち上げ花火が上げるロングラン花火大会を開催しています。今回は2連泊で機会は2回ありました。まず、1日目は遊覧船から花火を観る(撮る)。2日目は湖畔から撮ることとなりました。

通常は花火と言えば、固定された打ち上げ台(台船)から花火が上がるのですが、ここは台船が動くのです。洞爺湖温泉街の有志がこのロングラン花火大会を主催しているので、その3大ホテル前で打ち上げする珍しい移動型の花火大会です。その移動する台船を追っかけるように併走するのが遊覧船エスポワールです。その船に乗って撮影しました。





2日目は、湖畔からの撮影です。船からと湖畔からの撮影の大きな違いは何でしょうか?それは三脚を使用するかしないかの違いです。船の上から撮るには、限られた空間で他の乗客と一緒に見上げて撮る事が予想されます。もちろん迷惑ですから三脚の使用は出来ません。この場合は、高感度で撮影します。例えばISO1600、3200などに設定します。絞りは開放にしましょう。シャッタースピードはテスト撮影して決めますが、手ブレしない速度を選ぶのを選びましょう。ピントはMFで狙うか、AFでも可能ですが後ろにピントが抜けるので注意が必要です。

その反対に湖畔など三脚が使用できる場合は、打ち上げ地点にピントを固定(無限遠)して、感度はISO100位に低くします。絞りは、F8か11でシャッタースピードはB(バルブ)でレリーズを使用して撮影しましょう。打ち上げと同時にシャッターを押して、花火が開いたらシャッターを放すと花火が流れて綺麗に写ります。おおよそですが5、6秒はシャッターを開けている見当です。

上記2枚の画像をご覧下さい。左が船から、右が湖畔からです。シャッタースピードが手ブレ防止のために速く設定している船からではブレているのが分かると思います。船も揺れるし、手も揺れるので仕方ないでしょう。一方、三脚に据え付けて撮影した右は花火が開く感じを表現出来ています。最初の赤と次の白が撮れるので実際に観た花火とは違うんですが心象風景ではこちらが花火になるのでは・・。




多くの花火関係のポスターは、このように三脚を使用して撮影した写真をさらに合成して作成されています。下の画像は、5枚を合成してものです。現実にはこんな花火大会はないです。しかし、表現方法は自由ですのでこれはこれで可となります。夏は花火の季節です。三脚もって花火撮影に出かけましょう!




では、また一緒に楽しみましょう。