撮影講座 簡単なポートレートの第3弾を始めます。
過去2回を参考にしまして今回は室内でのライティングのお勉強をしていきましょう。
屋外で撮影が主のアマチュアカメラマンの皆様にあえて室内を選択 (ちょっと意地悪な気分?)
光の基本をしっかり抑えるには自然光下より照明で説明した方がよりベターです。

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2004.7


簡単なライティング

それでは早速始めます。野外の撮影と違いまして室内では人工の照明が主光源になります。一部のスタジオ(太陽光を取り入れた自然光スタジオもあります)を除いて照明はストロボ光、タングステン光、蛍光灯などが使用されます。
タングステン光はいわゆる電球(フィラメントが光源)タイプの色温度が3200度近辺の光です。一昔前は商品撮影はこれが主流でしたが大型(車やテレビ)商品以外はストロボに変わってきています。使用するフィルムもタングステン用でなければ色温度を変換しないと忠実な色再現は出来ません。蛍光灯は従来から記念写真などの写真館でよく使われています。現在はデジカメが進出していますのでホワイトバランスを考慮して使用されています。しかし、ここを訪れる多くの方は写真を生業にしている方ではないので一般に最も普及しているストロボで話を始めていきます。また、プロ用機材を使用していますが工夫次第で同じ効果を得ることが可能ですので、基本をマスターしましょう。



それじゃってことでまずは上の写真を見て下さい。左はカメラの上にストロボを付ける最も頻度が高い使用例です。当然のことですがモデルさんの後ろに影が色濃く出てしまいます。髪と影の境が判別出来ず頭が大きくなったかのようです。顔はきつい光の反射で所々テカってしまいます。スポーツ系ならそれも可でしょうがポートレートではダメダメとなります。陰影が濃いのでコントラストが高く女性などの撮影では不向きなのがお分かりでしょうか?

ここで今回撮影に協力して頂きましたモデルさんには照明効果を分かり易くするため化粧を控えて頂いていますので念のため。

次は右ですがこれもちょっと高価なストロボにあるバウンズ機能を使いました。バウンズは天井バウンズだけでなく壁などに反射させて光を弱めて全体に回す効果があります。「暗いじゃないか!」と思うでしょう。露出計で計らずにストロボに任せますとアンダーになる事が多いのです。「俺のは明るいぞ!」とお怒りになるかも・・・しかしネガやデジカメの場合プリントで補正、ソフトで加工しています。ポジで撮影するとストロボオートではこうなります。ならないためにはストロボメーター(露出計)で測光して撮影すれば良いのです。露出以外にも顎の下などの影、目に光(キャッチアイ)が入っていないので白目黒目の境が無くなります。また当然ですがバウンズしてますので色温度が下がりますので左写真より黄色く写ってしまいます。
「それじゃどうすれば?」 バウンズ角度を真上から斜め45度位で目にキャッチライトを入れると随分変わりますよ。


「光を回す」とは被写体に万遍なく明るくする事ですが、写真は影があって像が立体的に見えるのです。2次元の写真を3次元により近づけるための立体感は影を自然にすることに他ならないのです。分かりますか?だいたいやね。

テレビなどでもたまに撮影風景で登場しますがスタジオ用ストロボに傘(アンブレラ)を付けたライティングで説明します。まずストロボ位置ですが正面では影が下方で立体感が出ません。バタフライライティングと呼ばれる技法もありますが、よく用いられるのは斜め45度上下方向にも45度の位置です。特に画家のレンブラントが多く用いたので「レンブラントライティング」とも呼ばれています。ここに記すにあたり数十年ぶりにライティングを調べましたら名称や角度などが学校時代と変わっていたので(そもそも学校でしっかり聞いた覚えが・・?)もし疑問に思う箇所がありましたら勝手に調べて下さい。(爆)

話変わってストロボの傘は反射拡散が目的です。光を和らげることにより陰影の軽減とテカリ(ハレーション)の防止になります。今回は更にストロボの反対側にレフ板を置いています。主光源(メイン)1灯傘使用とバックに補助光(サブ)を使用した2カットです。また忠実なレンブラントでは光が当らない側の頬に逆三角形が出来なければいけませんがご容赦下さい。

そこで上の2枚ですがどこが違うのか?はいっ!そうです左は被写体の影が背景紙に出来ています。傘を使用しても被写体の影は出来てしまいます。これの対処法がバック(背景)に補助光を当てることです。(右写真)ファインダー内から見える範囲を一定の露出にする事が好いのです。被写体の露出と同じか1/2段ほど上げられるときれいに仕上がります。


女性のポートレートではコントラストが強い写真は嫌がられます。影には「強い、怖い」などの効果があるので男性では良いかもしれませんが、女性は優しい、柔らかい、軽い印象を写真に求めますので影の処理には気をつけましょう。そんでもって、傘(アンブレラ)を使用した撮影は現在でも多用されますが、傘にトレーシングペーパーやディフューズペーパーなどを付けて更に柔らかい光にして撮影するとなおキメ細かい写真に仕上がります。

想像して下さい。広げた傘の柄にストロボが傘の中心を向いています。傘の内張りは白です。そこに放たれたストロボの光は傘に反射され拡散し反対方向に放射されます。そこにさらにトレペがあり、そこを透過(ディフューズ)して更に優しい光になって被写体に注ぐのです。

現在はディフューズ(透過光)が主流になりストロボに直接付けて使用するライトバンクが普及しています。それを使用したのが上の2枚となっています。ここでまたまた微妙に違いがありますが・・・・ 簡単ですよね。

右写真の髪の毛が輝いていることが違うのです。ライトバンクと背景に補助光までは同じですが右写真はトップライトが頭部に当てているのです。本来自然光下では太陽光のみの1灯ライティングが基本です。頭部が最も明るいハイライト部分になるのがより自然なのです。またトップライトは主光源(光量)になるのが本来ですが便宜上メイン(主光源)はライトバンクになります。被写体に最も影響を与える光源だからです。ちなみに光量からいくと1番がトップ、2番がバックそしてライトバンクの順番です。何故って学校じゃないから(試験ではXです) お手持ちのストロボが3台あればシンクロやスレーブユニットを使えば似たライティングが出来ますので恋人や奥様、愛人なんでも試しに撮って見ましょう。

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せっかくなので違うライティングの一例です。トップライト(上部)のみの照明です。そのまま撮ると左のように影が多い暗いイメージになってしまうのでだめです。どうするかと言えばバスト下にレフ板を置き反射で影を和らげます。(右写真) このライティングは一昔前のアイドル撮影やレコードジャケット撮影で見かけられましたがこの頃はとんと見かけませんが時代は回ってくるのでこんなライティングの写真をみたら思い出してね。


上のライティングにもうひとひねりしましょう。よーく見ると鼻の下などの影が不自然で顔色悪く写りませんか?目にキャッチアイも入っていません。そこで手前からもう1灯付けましたのが上の2枚です。目に点としてストロボが写り込むだけで生き生きとした顔になり、また口元の暗さも解消されました。このライティングは頭髪が非常にリアルに写ります。モデルさんの髪が最初(1番上)とは違って見えるでしょうがこれが現実の髪の色です。髪の色が明るくなるのは全体に重心が下がり軽い感じに見えてくるのです。今回は無彩色のブラウスですが黒い服ではまた感じ方も変わってきます。同じ露出でも対比で暗くなったり明るくなったりもします。風景などで撮影する露出と違って女性の場合は1/2から2/3段ほどオーバーにすると見た目の白い肌(本人が喜ぶ)になります。着ている服装や周りの環境(壁の色、天井の色)で微妙に調整します。そのためにはシャッターを数切りましょう。





何も顔のアップだけがポートレートではありませんから次に行きましょう。お手元のストロボが数台(3個以上)あれば工夫次弟で以下の撮影は可能です。メインを右か左45度にする(今回は左)ストロボをスタンドに立てるのがベストではあるが無い方は三脚につけましょう。次にサブを頭部の上方に付けたいのだがこれは鴨居か蛍光灯にぶら下げるでも可だ。出来れば各ストロボの前にトレペ(トレーシングペーパー)か乳白のアクリルなどでディフューズ出来れば完璧である。まだストロボが余っているのであれば背景(モデルさんの後方)に当てて下さい。デジカメなら何回か撮影すればメインの位置など調整出来るでしょう。


イスを使用しましてのポートレートになります。光を全体に回すのですが背景にグラデーションが出来ても雰囲気があればバックの補助光は要りません。しかし明らかな光量不足では問題外です。まず背筋を伸ばして胸を張って、お尻に力を込めて、やや斜めに向いてこちらを見ると、ウエストがくびれて胴全体が細く見えます。もちろん女性の場合は少しでも細く写して上げるのが常識でございます。またミニスカートなどでは特に座る方向に気を配りましょう。モデルとの信頼関係が上達の近道です。決して嫌がられるポーズを要求するのは止めましょう。


今度は座ってのポーズです。左が目線の高さから撮影したものです。右はカメラ側が立って見下ろしたアングルです。角度によって微妙にモデルさんの表情や輪郭などが変化するのにお気付きか? よーく考えてベストなポジションを早く見つけて重点的に撮影しましょう。くれぐれも嫌がるアングルはダメですよ。


女性の体は柔軟なラインから美を感じますのでいろいろな角度で撮影し表情を狙いましょう。まずは信頼関係が構築されている恋人や奥様をモデルにして挑戦して見るのが早いです。両方いないか猛反対されたご同輩は・・・・ がんばって!