ポートレート撮影の初心者から脱皮されたと思っている方は、ここから2回目です。
初回をご覧になってからでもいきなりこちらでも結構ですが、初心者の方は順番に見ていただければ
より解り易いのではと思います。

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第1部スナップからポートレートへ




それでは始めます。「気をつけ! 礼!着席。」 ・・・ 静かにならないで下さい。 ほんの掴みです。 (爆)
まず前回にも説明しましたがポートレートは肖像写真です。現実には女性のそれを指すことが多いので、ここでは女性のポートレートで話を進めていきます。・・・何故なら女性が好きだからに決まっているではないですか!

スナップとポートレートはどう違うのか? 厳密にポートレートはこう撮影したものをポートレートと呼ぶというものはないのでスナップと変わらないではとなるのですが、いわゆるスナップは風景や記念日、旅行などで撮影される自由な撮影手段でなされたものを言います。それとは別に意図した構成に乗っ取り人物を作為的に撮影するのがポートレートになるのではないでしょうか?反対意見がございましても一切聞かず先に進みます。では作為的な撮影(表現)方法とは何でしょう?

上の画像を見てください。表情をなくして撮影しています。これは既に作為的に無表情で撮影したいとお願いしたものです。これは作者である私がある意図的な手段で撮影(ここでは無表情が意図)したことなのです。ここがスナップとは違い作者の意図的で作為的な部分です。あるモデルを数人のカメラマンが寄ってたかって撮影している撮影会を見ますがこのような場所では作者の意図がモデルに届くとは思えません。作者が意図的にポーズや表情を選択出来なければ、それはポートレートとは違うものではないでしょうか? モデルを撮影するのであってモデルさんに撮らせて頂くは別物です。


まず作者が何を撮影によって表現したいかです。モデルの美しさ、体のラインのフォルムなのか考えましょう。ポートレートを撮る場合にプロのモデルで撮影することも可能ですが、現実的な話では無理です。ここのサイトを見て頂く方の多くはアマチュアですから身内か、近所のお嬢さんを撮影する機会が多いと思います。それでは折角の撮影チャンスに被写体であるご近所のお嬢さんやお孫さんなどをただのスナップからポートレートまで昇華させるには・・考えていきましょう。

上3枚の画像に注目して下さい。左は怒ったぞのポーズです「こんな写真撮らないで・・!」となるカットですが、ここは撮影者と被写体(モデル)に
信頼関係が成立するかの重要なポイントです。被写体は「キレイに撮ってね!」と当然思う訳で自分の中で美しく見れる角度ないし仕草をする事でしょう。スナップならそれで完了になる訳ですが、それでは作者の意図って物が見当たりません。モデルのどの部分を意図的に表現するか・・・まずはこちら(撮影者)側に主導権があることが大切です。

そのためにはモデルとの間に信頼関係が結ばれなければなりません。そのために怒った顔や笑った顔を至近距離から撮影するのが信頼関係を構築するのに重要なのです。いきなり「さあ!撮りますよ!」と撮影者が力んでもモデルさんは緊張するだけで顔は引きつるのは至極当たり前の話です。いろんな表情を撮影するとそこから「この角度が可愛い!」とか「きれい!」な仕草が見つかるでしょう。この場面で大切なのはモデルさんが恥かしいと思わせることはしないで下さい。例えば人通りの多い道路で撮影とか、大きな声でみんなが集まるような行動などは信頼関係が出来るとは思えません。無理なポーズや嫌らしい言動も止めましょう。別な撮影になってしまいます。

カメラに向かって自然な笑顔(右の画像)が撮影出来るようになれば信頼関係が構築できたはずです。あとは撮影者の意図した撮影に移行出来るはずです。ここまでいかないのに撮影を急いでもきっと失敗することが多いのです。焦っちゃダメダメ!


続いて立って撮影ってね(上左画像)直立不動でどうしようってんで! 「人間は考える葦である」 さあどうして硬いのか?
直線だからですね。足も手もまっすぐなのは窮屈なのです。動きもないので見ていて硬いです。表情が笑っていてもこれではダメです。しかしこれがよく見かける写真なのですね。

それでは、変化がある
ポーズ(上右画像)です。足をクロスさせ、体も曲げて首を反対に傾けるだけで随分変わるのが分かるでしょうか? スナップでも簡単に上手く撮れますよ。ポーズもキレイに撮影するためには重要なことが理解出来ますね。いろいろ動かして感じるものがあればその度に撮影するか、または動きながら撮影など試すことも・・・しかし無理なポーズは厳禁です。


他のページでも解説していますが、フィルム感度です。感度はISOで表示されていますが、未だに感度が高い方が良いと思っている方が多いです。感度の高い低いとフィルムの良し悪しは別物です。感度は低いほど粒子が細かく粒状性もよく色再現に優れています。高感度はその反対に粒子が粗く、色再現も悪いのですが暗い場所や速い被写体を止めるには好都合です。本来は撮影目的に応じてフィルムを選ぶものです。(断言!)

その粒状性とは・・・フィルムは乳剤(感光材料)が光を感じたものに各色別の濃淡で再現するのですが、光を多く感じる(高感度フィルム)には粒子が大きくなってしまうのです。その実例が上の画像です。左が感度100で撮影、右は感度3200で撮影しました。肌の質感が違うのがお気付きですか? 右は粒子が荒れてしまい肌がギザギザになってしまいます。ここから分かるのはポートレートなどで女性の肌を表現しようとすると感度は低い方が良いのが理解出来たでしょうか? 各社から市販されているフィルムから感度の低いものを選んでください。ISO50か64が妥当ではないかな。いや正解なはず!


VOL.1でも述べていますように「光を読む」は基本の基です。光は写真の全てと言っても過言ではないでしょう。晴れた日なら誰にでも太陽の位置が分かります。日が当るか否かが写真にはとても重要なのです。

まずは左画像から曇天のサイド光です。この場合背景に注意しましょう! 光が弱いため木々からの木漏れ日もなく沈んだ印象になります。背景が暗いのは人物を浮き立たせる効果はありますがポートレートよりはスナップなどの撮影で選びましょう。

真中と右は同一場所ですが、何が違うでしょうか? 見たら歴然としています右がストロボを焚いて(
日中シンクロ)逆光時の暗さを補ったのです。逆光時に開けて(絞り)撮影したり、レフ板を使用したりもしますがアマチュア写真家がレフまで持って撮影とはなかなか恥かしくてできないそうです。(モデルさんが恥かしがります)無難で許可など気にしないで撮影出来るのはこの日中シンクロが最適ではないでしょうか。実際レフ板は非常に明るく素人モデルでは大変眩しがりますので、無理ではないでしょうか?助手も必要になるのも難点です。

日中シンクロで大事なのは「いかにもストロボを焚いた」と判る露光にしないことです。外光(背景などとの露出の差)との光の量でより自然なものになるように心掛けます。また、直光よりトレペやデフューザーなどで光を柔らかくするのも効果があります。背景はなるべく被写体から離れた方が被写界深度の関係で上手くボケます。ボケると被写体を浮き上がらせますので、その効果を試して下さい。上手くボカすには広角レンズより望遠レンズ、絞り込むより絞り開放が良いです。


撮影する場合は撮影者はどの位置にいるべきか? 被写体(モデル)が同一の場所で試してみましょう。 モデルより上から撮影した場合(左画像)は背景が単一になりました。背景に写したくない構造物や人物が入る場合には有利に働きます。この場合どうしても猫背に写る事が多いので胸を張って頂きます。背景を単一にしたり場所の特定をさせない時にもこれはいい方法です。

それから目線の高さ(右画像)からは一般的な撮影です。背景の処理などが問題でありそれが撮影場所選定になるのです。背景に気をつけるのは屋外での撮影では第一に考えることです。自分の意図(作品の目的)を反映させる場所探しをして目線からなのか、上からなのか下からか?考えましょう。極端に下からや上からはモデルのラインをデフォルメすることになるので事前に告げて許可を得ましょう。個人的には女性を極端な角度から撮影するのは如何なものでしょう? 

作品の意図ならば仕方ないですが・・・ 海でも山でも公園でも水平線や地平線、またその他の境界線があります。明暗の境はラインになりますのでモデルさんの首などに絡まないようにすることも重要です。花と一緒がよくあるパターンですが花が美しく数が多い場合はよほどの美人でないと花に負けます。花は手前か後ろにボカし人物にピントを浅くするといいのでは、しかし、コスモス畑の真ん中で広角レンズでパンフォーカスもありはありか?


最初緊張していたモデルさんも段々と心を許す所まできましたら今度はポーズ(仕草)による表情の変化を撮影します。
顔が緊張していますと表情が硬くなります。当然といえば当然です。黙って撮影しても良いのですが、会話をして撮影すると段々普段の表情に戻るはずです。まずは信頼関係が大切です。心を許していない場合はまだまだです。 (未熟者だす!)

会話の合間に髪を触ったり相槌を打ったりした時がシャッターチャンスになることがあります。まあ作品の趣旨にもよりますが?私が叫びたいのは (叫ばなくてもそっと言いたいでも)良い写真を撮る前段階なのです。自分の作品の意図など他人には理解できないので段々と自分のペースに持ち込むためにはこれが大切なのです。いいですか 慌ててはいけません!相手がプロのモデルならば前段階を飛ばしても差し支えありませんが・・・ あなたがプロでなくアマチュアならばモデルに自分の撮影意図を説明出来ますか? またモデルがそれに従いますか? よーく考えよう!


女性を撮影するのですから、まずは本人が思っている自分並みに撮影は当たり前!本人でも信じられないほど美しく撮ったり「これは私ではない!」などと驚嘆する写真を目指しましょう。

それでは人間の顔は左右対称ではなく右か左かで違う表情を見せたりします。角度によってどちらが良いのかを決めなければ作品としての価値がないと言うものです。正面向きでしたら差は余りないのでが右向きか左向きになると顔は正面より向いた方向に偏ります。つまりそちらの顔半分が多く露出するわけです。上2枚の画像は極端に向きを変えていませんが表情に微妙な変化があります。(光の向きが違うので解り難かったです)顔の向きや体型の違いで撮影ポイントを決めましょう。必ず違うものですからよーく観察しましょう。作品でこっち向きと決まっている場合は、そちらの向きが似合うモデルを探しましょう。


レンズはたくさん持っていると撮影表現の幅が広がりますが、限度(経済的、重量的)がありますので数本を用意して動きやすくしましょう。助手が手配出来るのでしたら別ですが。標準レンズより画角が広いレンズが広角レンズで、反対は望遠レンズになります。上左画像は広角レンズによる作例になります。広角レンズの特性として遠近感と被写界深度が深くなります。遠近感(パースペクティブ)は手前が大きく、遠くが小さくなることです。これにより手前が見た目より大きくなる(デフォルメ効果)ことを作例で感じてください。作品に大きく影響するものですから使用レンズの選択もまた重要なのです。

表情は笑っていようが泣いていようが自由に選択して結構なのですが、怒った顔のお嬢さんや親戚の娘さんにプレゼントして喜ばれるか嫌われるかは別問題です。ここはスナップ写真からの脱皮ですので無視して進みます。
意図的な撮影は撮影者と被写体であるモデルによってなされるのです。信頼関係が構築できた撮影で作者自身どんな表情とポーズで撮影するかよく説明して下さい。嫌がる顔やポーズを強いてやる価値をモデル側に立って考えましょう。

上右画像は上目使いで撮影しました。これは眼が大きく写るのでよく使われますが顔が怖くなる傾向があります。笑って撮ればそれまでなんですが、作品的表情は決して良い顔でなくてもいいのが現実です。目線が逸れていてもいいのです。型にはまらない表現方法が存在するのも事実です。



今回のVOL.2で 「スナップからポートレートへの昇華を!」 をテーマに語ってきましたが如何でしたか?