撮影の基本を中心にお届けします。「初めての方が読んで理解できる」を前提にしていますのでご自由にお立ち寄りり下さい。分かり易くするため数値計算や専門用語は出来る限り排除しました。これから1眼レフカメラでの撮影をしてみたい方には最適です。また、写真には作者に著作権が生じます。また、被写体には肖像権があり守られるべき権利があることをご理解下さい。このページの記事及び画像は写真家・笹生和義が著作権を管理していますので無断転載・2次使用は法律により禁止されています。

それでは始めましょう。基礎ですのでカメラの簡単な仕組みをお話しします。1眼レフカメラの最大の特徴でありますレンズが交換できる。それは望遠から広角まで作品の目的に応じた選択が出来るということです。遠くの被写体を撮るのには望遠レンズで大きく写すなどは誰でも知っていることです。現在市販されているコンパクトカメラでも望遠から広角までのズームレンズが搭載された機種が多いです。それでも十分ですが、自分が意図した作品を作るのでしたらやはり1眼レフカメラを使用する事を薦めます。今回は最も普及している35ミリ1眼レフで説明します。

まずはこれから写真を見ていると「ピントがきている」や「ピントがずれている」などの声を誰しも聞いたことがあるでしょう。しかし、カメラが故障していなければ必ずどこかにピントが合っています。「エッ!ピントが?」そうなんです。レンズの構造上厳密には最短距離より近くにはピントが合わないじゃないかと思われますが、それは被写体が遠くの景色を遮っているだけでそれがなければ必ずどこかにピントが合うのです。つまりピントが合う場所に目的の被写体が無い場合に「ピントが合っていない」となるわけです。それが被写体の前に合うと
前ピンといい後ろにピントが合うと後ピンと言っています。だから後ろか前にはピントが合っているポイントがあるのです。

風景写真などのポスターを見ると手前から後ろまでピントが合っている写真を見かけるはずです。写真全体にピントが合っている(パンフォーカス)状態がなぜ出来るのか? またファッション誌ではモデルの後ろはボケボケなのはなぜ? これがピントの幅である
被写界深度です。下の写真をご覧下さい。(同じ100mmのレンズで撮影。左は絞りを開放(そのレンズで一番明るい絞り値・1番小さな数字)右はF22まで絞り込んで撮影したものです。一目瞭然です。ピントが合っている幅が違うのが分かると思います。初級者編ですので絞るとピントが深くなると憶えて下さい。理由などはここでは省きます。理屈より慣れて頂くのが先決です。同一のレンズでは絞るほどピントの幅が深く大きくなります。憶えましょう!

また、広角レンズ(標準レンズより短い焦点距離のレンズ)の方が望遠レンズ(標準レンズより長い焦点距離のレンズ)より同じ絞り(F値)でも被写界深度が深くなります。つまり絞りF8では広角のほうがよりピントの幅があります。風景などは広角系のレンズを使用し絞り込んで撮影しますのでパンフォーカスになります。望遠レンズを使用し絞りを開放で撮影したファッション写真はバックがボケるのです。ここまでは理解しましょう。

絞り F 2.8 絞り F 22

絞リは光の量を調整する役目があります。レンズの絞り環(現在はない機種もあります)をグリグリしますと絞りの羽根が見えるはずです。絞ると小さい穴になり、開けるとなくなるように作られています。これでレンズから入る光を多くするか少なくするかで暗くも写せるし明るくも撮れるのです。よく聞かれる質問に「絞りはいくつにすればいいのですか?」です。これの答えは「あなたが選ぶのです。」写真をコンパクトカメラではなく1眼レフで撮ることの最大の理由が「自由に表現する」ことです。あなただけの作品を作れること、その表現方法の一つが絞りの選択です。ご理解いただけますか?


シャッタースピード

そもそも写真を撮るのはフィルム面に適正な光量を感光させることです。これを露光と言います。また絞りで調整してシャッタースピードを選択し、使用フィルム感度に見たままの仕上がりになれば、それを適性露出と言います。
この適正露出を得るために絞りとシャッタースピードが関わります。例えますと日焼けです。ピーカンの青空では短時間で日に焼けますが、曇天は長時間かけないと同じ黒さにはなりません。真夏の太陽は開放絞りと同じでたくさんの光があるのです。また曇天は絞り込んだ状態と同じですね。もう解りましたか同じ黒さにするには短時間でも長時間でもできるのです。適正露出はこの組み合わせで決定されます。もちろんフィルムの感度も関わりますがそれは後ほどに・・
では、速度をどれにすればですが下をご覧下さい。左は1/500秒で右は1/8秒で撮影しました。左は写真の醍醐味である瞬間を止め普段は見れない水滴なども見れます。右は水が流れてしまいます。これがブレです。ブレは良くないものと思われますが、逆に渓流や滝の糸のように流れている写真をよく見るはずです。これも写真のテクニックの一つで表現方法です。ここで大事なのが「何を撮りたいか!」それによりシャッタースピードは決まるのです。
シャッタースピードが決まれば、絞りも決まるのです。例えば野球のバットとボールが当った瞬間を撮影したければ1/2000秒にしようと決めます。逆にバットがブレる写真が撮りたければ1/15秒に決めます。自分の感性で被写体の表現方法を選ぶ楽しさを試しましょう。
とは言ってもある程度の目安が必要でしょう。望遠レンズを使用した場合は 1/レンズmm以上を使用しましょう。300mmなら1/300秒以上(通常は1/250の次は1/500なのでそこに)100mmなら1/125秒以上で撮影します。これより遅いシャッタースピードは手ブレに注意して下さい。また1/15より遅い場合は三脚を使用しましょう。


1/500で撮影 1/8で撮影

絞り(F値) 1,4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22
速度 1/2000 1/1000 1/500 1/250 1/125 1/60 1/30 1/15 1/8

適正への道である「絞りとシャッター速度の関係が難しい」と思うのが大半です。理屈はあるのですが、ここでそれを述べると初心者は引いてしまうのでさらーっと流すので読んでください。

上の表を見てください。上段が絞り(F値)下段がシャッタースピードです。いきなり
F値ですが説明しますが理解しないで結構です。レンズの口径とそのレンズの焦点距離で決まり、焦点距離を口径で割った値。小さいほど明るく大きくなると暗いレンズになります。従って明るいレンズは口径が大きく重くなります。暗い場所でもファインダーが覗きやすくなりますが一般的に高価になります。F値がきっちりした数値で進まないのがまた難解さを感じるでしょうが平方根の配列なので憶えちゃってください。1つ数値が下がると2倍の明るさになります。F8はF11の2倍の明るさになりF5.6の半分になります。シャッタースピードもキレイな配列になっていませんが、これもそう言うものと理解して前に進みます。   (撮影がメインですので詳細が知りたい方は本屋さんへ)

1/125は1/250の倍の明るさです。1/60の半分です。絞りと速度は連動しています。どちらも1段階で2倍か半分になるのです。  では1/250でF4で適正露出の被写体は1/1000ではF値はいくつ?
上の表を見れば簡単ですね答えはF2です。逆にF11にしたら速度は? 1/30です。簡単ですね!このように露出は自分で決定できるのです。絞りや速度によって作例が違ってくるのは当然なのがお分かりになったでしょうか。

段階は1絞りとか1段といいます。1/1000は1/30より5段速い速度になります。F2とF11も5段の違いがあるわけです。ここまでで質問や分からないことがありましたらメールか掲示板へ  ないなら次へ!



フィルム感度

世の中デジタルカメラ全盛に向かっています。これを否定するものではありませんが、ここではいわゆる銀塩カメラを中心にお話を進めます。デジカメとの大きな違いがフィルムを使用することです。そして現像しないと私たちは見ることが出来ません。そのフィルムですが感度があることは多くの方が知っているでしょう。しかし、多くの方が間違って認識していることがあります。それは感度が大きくなればなるほど良いフィルムと思っている方が多いのです。これは間違いです。確かにCMなどで「暗くても写せます!」とコピーされると優れていると勘違いしてしまいます。感度は光を感じる粒子が多いか少ないか増幅できるか否かです。これも絞りと速度と同様に適正露出を計る上で重要かつ必要条件です。ここもさらーっと行きますので付いて来てください。

まずフィルムの種類はカラーフィルムと白黒フィルムがあります。ここでは主にカラーフィルムについて説明します。
カラーフィルムにはポジフィルム(リバーサルフィルムとも呼ばれる)とネガフィルムがあります。用途の違いで使用します。私たちプロが主に使用するポジフィルムは色再現に優れ印刷原稿として用いたり、スライドにして会議やデータ画像に使ったりします。ネガフィルムは一般に広く普及しているプリントを前提に使用しています。

全てのフィルムは撮影感度があり、ISOにより定められています。箱などに書かれている100、400などの数字が感度です。感度100(ISO100のことです)のフィルムを一般とすると、それ以下の50や64は低感度フィルムと呼ばれます。また、400や800のフィルムを高感度フィルムといい、1600などは超高感度フィルムとされています。

何が違うか? 例えば暗い舞台撮影のとき、ストロボ禁止だったらどうしますか?あなたの感度は100です。きっと絞りを開放にしてもF2.8でシャッタースピードは1/8か1/15秒がいいところです。これではブレブレ写真は決定的です。
そんな時に感度1600のフィルムがあれば100の4絞り(4段)速い速度が撮れます。1/250秒以上で撮影ができブレの危険を回避出来るのです。それなら常時使用すれば良いではないかと思いますが、ここが肝心です。

高感度になればなるほど粒子が粗くなります。写真は超微粒子が集まって一つの色再現をするので粒子が粗くなると見た目でボツボツが分かりシャープネスを欠いた写真になってしまいます。つまり使用目的でフィルムは使い分けるのです。低感度フィルムは色再現に優れ、超微粒子であるためプロが愛用しているのはこちらの方です。そして、撮影目的により感度の違うフィルムを使用するのです。決して安易に感度の大きなフィルムを使用しないのです。

感度は絞りと速度と同じ関係です。下記の表を参考にしてください。

感度(ISO) 50 100 200 400 800 1600 3200
絞り(F値) 4 5.6 8 11 16 22 32
シャッタースピード 30 60 125 250 500 1000 2000

これで適正露出の3条件を述べましたが、これから露出を測定しなければ撮影は出来ませんね。その前にここまでで理解できない人はいませんか?  メールと掲示板を使用して質問タイムです。

露出を決める


それでは理屈より実践を重視します当サイトです。「写真はカメラにお任せなの」カメラに全て頼ると自分の作品の幅が狭くなってしまいます。無限といえる写真表現を相手にカメラだけではちと心細いです。お勉強しましょう。

まず市販されている機種があまりに多いので整理します。

マニュアルのみ 絞りとシャッタースピードで撮影します。露出計などで測光して適正露出を得ます。
AE、TTL測光 レンズを通ってきた光を測光してファインダー内に表示して適正露出を得ます。
プログラムモード その場の光量を予め設定した数値にプログラムされ露出を決定。
これらの複合 マニュアルからオートまで搭載してさまざまな測光ができる。高級機種にみられる。

このどれかに属しているはずです。どの測光が良い悪いではなく、どれも短所と長所がありますのでお持ちのカメラの取扱説明書をよく読んで特性を理解しましょう。ここでよく出てくる用語を簡単に説明します。

露出計 マニュアル撮影する上で必須のアイテムです。セコニック社やミノルタ社などから市販されています。撮影フィルム感度を設定し被写体の光量を測定します。絞りやシャッタースピードを指針で示すものやデジタル表示するものがあります。できれば持ちたいものですが安価な1眼レフと同じ位の価格の機種もありますので予算と相談してください。
AE オートエキスポジャーの意・カメラ本体に組み込まれ測光、適正かどうかをファインダー内に表示。
AF オートフォーカスの意・自動でピントを被写体に合わせる機構。反対はMF マニュアルフォーカス。

実践が1番、まず撮影してください。その時に気を付けて頂きたいことは撮影データをノートにでも書いておきましょう。屋外だったら時間、天気、光の具合などを記しておくと後々便利です。
初級編ですのでドンドン失敗してください。 ただどうして失敗したか?を考えて失敗してください。 理由が分かるようになれば、あなたは初級から卒業です。被写体に向かって、いろいろなアプローチで挑戦してください。



簡単ですがこれがステップの最初です。いきなり難しいことで撮影の情熱が醒めてしまっては大変です。ただ撮るより少しは考えるきっかけになれば幸いです。カメラで撮る、その無限の可能性を秘めた扉を今、開けましょう!




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撮影編「簡単なポートレートの撮り方」を公開しましたので、そちらも見てください!